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ブラック会社オフィス内でおにごっこ

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 橋口さんは急な出来事にきょとんとしていたが、それもそう長くはなかった。振り返ると山本さんがすぐそこまで来ていたからだ。橋口さんは席を立ち、逃げ出した。山本さんは呆然を立ちつくす僕の目の前を通り過ぎ、橋口さんを追いかけだした。橋口さんがイスをガンガン倒しながら、本気で走り出すと、山本さんはその倒れたイスを蹴飛ばしながら追いかけた。二人は狭いオフィスをパーティションを挟んで走り回っていた。オフィスの中を3週ほどすると橋口さんはオフィスから飛び出した。山本さんもそれを追いかけオフィスをあとにした。そして、僕はオフィスの中に一人取り残された。
 一人ぼっちの時間はそれほど長くなかった。すぐに橋口さんと山本さんの声が聞こえた。オフィスの入り口を見ると、二人が見えた。

「仕事の話をしていただけですよ。」
「すまん。」
「どうしたんですか、本当に」
「・・・」

 オフィスに戻ってきた二人はそれぞれ自分の席についた。橋口さんは乱れた息を整えるかのように、ゆったりと自分の席に座ると、ふー、と一息ついて僕に言った。

「どうしたん、山本さん」
「朝からずっとあの調子なんですよ」

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